それが植物や果物、物をで人の顔を描くアルチンボルトだ。
花や植物で描く?奇想な画家、アルチンボルト
現代アートでは奇抜なアイディアのアートはたくさんある。これも現代アートでは?と思ってしまう様な発想の絵画だ。しかし実はこれは16世紀に描かれた絵画である。
この絵画を描いたのは
イタリアミラノ生まれの画家、アルチンボルト(1526年〜1593年)だ。
イタリア、ルネサンス期の後期マニエリスムを代表する画家だ。
代々ミラノ司教をだしていた名家の生まれで父親も画家であった。
果物や野菜、本、動物などを集合させて人の肖像を描くという奇抜な絵画で注目された。
36歳の頃にはハプスブルク家の宮廷画家にもなり活躍した。
なぜ植物や果物で肖像画を描いたのか?
ルネサンス期はダヴィンチやミケラナンジェロに代表される様に迫力のある宗教画が多く描かれた時代だ。また同時に芸術や文化、科学が発展した時代でもあった。
人間の筋肉のつき方を研究し、絵画に反映させるということも行われた時代だ。
アルチンボルトも伝統的な宗教画を描いていたが、今は忘れさられ奇想な絵画が残っている。
精神の錯乱から描いた?ルネサンスの時代を反映した作品?
アルチンボルトの奇妙な作品は当初は精神錯乱からきているものだと言われていた。しかし近年の解釈ではルネサンス期を反映したものだと言われている。
ルネサンス期は絵画においても人間を解剖し筋肉がどの様についているまで解明し、それを絵画にも反映していた。
レオナルド・ダ・ヴィンチも科学的に人間に興味があり、人体の解剖もしていた。
そしてダ・ヴィンチは人間の顔を観察し、顔の特徴を誇張して描いたカリカチュアの素描を描いていた。
そのカリチュアの源流には人体のパーツを分解して物と置き換える修辞法を特徴としていた滑稽詩が源流にあった。滑稽詩は当時の文化にもなっていた。
アルチンボルトの寄せ絵にはその滑稽詩の手法が見てとれる。
つまりアルチンボルトの作品の背景にはルネサンスの人体の観察眼と文学的な背景があったのだ。
四季 春 夏 秋 冬
アルチンボルトの代表作品であるのが連作作品である四季だ。。パッと見は人物の肖像画の様に見えるが、良く見ると植物や果物によって描かれているだ。
それぞれの季節を表し、感じられる様にその季節の植物や果物によって描かれているのだ。
近づいて見るどれもしっかりと植物だ。
しかし離れて見ると顔や人物に見えてしまうのだ。それは不思議である。
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ただのアイディアだけでなく構成もしっかりしていないと絵画として成り立たないだろう。
植物への観察眼、人間への観察眼、両方がなければ実現できない作品だろう。
四季は人気作品でいくつかのバージョンがある。
四大元素 火 水 大地 大気
カードゲームでありそうな作品だ。こちらも代表作の連作の作品だ。2つの連作は皇帝マクシミリアン2世に献上するために作られた作品だ。
珍しい植物や動物なども描かれており、当時の貴族の珍しいものを取集するという欲も満たした。
また2つの四季と四大元素の連作は「火」と「夏」、「水」と「冬」が対になって向き合う様に描かれている。
司書 1566
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ウェルトゥムヌスに扮したルドルフ二世 1590–1591
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まとめ
今見ても古さを感じさせないアイディアの作品は驚愕するばかりだ。しかしそこにはアイディアだけでなく、鋭い観察眼と緻密な構成力があったのだろう。
現在でも多くの絵画やアーティストに影響を与えているだろう。
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