血液型診断の信憑性について。【Thought】

そもそも占いなんだから信憑性なんてない。なんて言ったらつまらない。
血液型によって体質の違い、病気へのかかリが具合などは違ってくるのである。性格などには影響するのであろうか?




竹内久美子著「小さな悪魔の背中の窪み-血液型・病気・恋愛の真実-」新潮文庫)は面白い。
占いという観点ではなく、科学的根拠に基づいて持論を展開している。
一般的にO型は病気全般に強くA型は弱いから、O型は大雑把でポジティブ、A型は神経質でネガティブな傾向にあると言われる。
本著では血液型ごとの伝染病へのかかりやすさに焦点を当てている。
例えばO型は結核に強い。比較してA型は5%、B型は10%罹病率が高い。結核を避けるにはとにかく患者と接触しないこと。そこから淘汰された結果、O型は社交的、A型B型は非社交的な傾向になったのではないか。
ヨーロッパでペストが激烈に流行した地域はO型の人口が少ないことから、O型はペストに弱いとされている。そのことからヨーロッパのO型は神経質で几帳面な性質を身に付けるようになったのではないか。
などなど。巷に溢れる血液型占いの本とは全く違った視点で書かれている。



ヒトラーの優生政策がルーツという説もある。(画像はチャップリン)
ヒトラー自身がA型で親衛隊も全てA型で揃えた。
アーリア民族は優れたA型が多く、B型の割合が多いユダヤ人は劣っているという捏造。
全く根拠のない血液型研究とナショナリズムが結びついたただの差別である。
日本のメディアでB型批判が多いのは、日本人はA型O型の人口の割合が多く(約70%)、A型O型のいい部分をネタにした本や番組は簡単に作れるし売れるからと言われている。
(子供のいじめなどを助長するため、現在は抗議を受け内容に制限がかかっている。)


日本の血液型占いのルーツは古川竹二氏の「血液型気質相関説」。
「O型とB型は能動的」「A型とAB型は受動的」という学説。根拠が無いため追加研究で完全否定されている。
能見正比古氏が提唱した「血液型人間学」は70年代後半にマスコミに注目され、現代にまで続くブームの基盤となった。データのサンプルのほとんどが受講者からということもあり、こちらも科学的根拠なし。
息子の能見俊賢氏が「血液型性格判断」として多くの著書を出し、さらに世間一般にABO式血液型診断・占いは広まったが、やはり医学的・心理学的な裏付けは全く無い。
今の日本人の血液型による性格の違いに対する考えは、ほとんど能見親子が考えた「O楽観的・親分肌 A真面目・協調性がある Bマイペース・個性的 AB合理的・二面性がある」をもとにした思い込みではないだろうか。

自分はこの血液型だからこういう傾向にあるという無意識の刷り込み。ここまで浸透してしまうと完全に無くすことは難しい。

個人的には、かかりやすい病気から特定の性質を身につけた説を推したい。

近い将来DNA検査がもっと簡単にできるようになれば、DNA型占いもできるかもしれない。売れるのならば。

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