クロワゾニズムを完成させた画家、ベルナール
エミール・ベルナールは1868年 〜1941年のフランスのポスト印象派の画家である。ゴッホやゴーギャンなどとも親交があった。
クロワゾニスムを完成させた画家だとも言われている。代表作に『日傘をさすブルターニュの女たち』、『草地のブルターニュの女たち』などがある。
クロワゾニスムを完成させた画家だとも言われている。代表作に『日傘をさすブルターニュの女たち』、『草地のブルターニュの女たち』などがある。
象徴主義
印象主義は光を分析し描こうとした。しかしそれが科学的であり、「人間の内面を表現していない」と批判が起こった。その批判から生まれたのが象徴主義である。実際のものををリアルに描くよりも人間の内部に焦点を当てたのだ。
人間の内面を反映した絵画、これがベルナールの絵の正体なのだ。
象徴主義の先、クロワゾニスム
そしてその象徴主義を進化させたのが総合主義(クロワゾニスム)である。綜合主義は現実をありのままに描くのではなく、自身の内面との融合(統合)をはかったのである。
「この世界は一様ではなく見る人によって変化する」ということを思っていたのかもしれない。
具体的な手法としては遠近法を無視し、輪郭を黒い線ではっきり描くのだ。
「日傘をさすブルターニュの女たち」
クロワゾニスムの代表的な作品と言われているのがベルナールの「日傘をさすブルターニュの女たち」である。全く新しい色彩、新しい人物表現で世界を驚かしたのである。
この作品はフランス北部のブルターニュ地方で行われる宗教的な催事の準備をする5人の女性を描いた作品である。
女性たちは伝統の祭りを準備する為に民族衣装に身を包んでいる。彼女たちは無表情であり、互いに視線を合わせることなく描かれている
この作品からは遠近法が意図的になくなり、色のグラデーションを取り払っているのである。
「草地のブルターニュの女たち」
こちらもクロワゾニスムにおいて重要な作品の一つである。同じくフランスの北端に位置するブルターニュ地方の女性たちを描いた作品。
ブルターニュ地方で毎年開催されているパルドン際の様子を描いている。
伝統的な民族衣装に身を包んだ女たちは、太く明確な輪郭線と立体感を全く感じさせない色面のみによって表現されている。また遠近法を無視し、平面的に描かれている。
ブルターニュ地方で毎年開催されているパルドン際の様子を描いている。
伝統的な民族衣装に身を包んだ女たちは、太く明確な輪郭線と立体感を全く感じさせない色面のみによって表現されている。また遠近法を無視し、平面的に描かれている。
「蕎麦の刈り入れ」
この作品は「草地のブルターニュの女たち」と対になる作品と言われている。ブルターニュ地方の蕎麦の穂の刈り入れを描いた様子である。色彩が緑とは対照的な朱色で描かれ、題材になっているのも女性から男性である。こちらも陰影を表現せず、穂が太い輪郭ではっきり描かれているのである。
クロマニョン人の壁画と似てる?
フランスにあるラスコー洞窟に描かれている動物の壁画。約15000年前のクロマニョン人が描いたと言われている。決してうまくはない絵である黒い輪郭で動物たちが描かれ、遠近感もそこにはない。
遠近感がなく、黒い輪郭で描かれた絵が、なんだか似ているなと感じたのである。見比べてみてはどうであろうか?
まとめ
クロワゾニスムを世に広めた人物にゴーギャンとベルナールが出てくる。ゴーギャンは太陽の画家と呼ばれ人気が高いが、ベルナールの存在なくしてはクロワゾニスムな確立しなかったであろう。
ゴーギャンのように生命力や活気に満ちてはないが、彼の作品には謎と調和が共存する不思議な魅力がある。
またクロワゾニスムは抽象画と写実画の間のようだとも言われる。ベルナールが完成させたクロワゾニスムが後のピカソのなどの抽象画につながっていったのかもしれない。
記事協力:ネット美術館「アートまとめん」
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