バイオミミクリーとは?自然から学び、応用する。【o】


自然から学び、応用する。バイオミミクリーとは?
動物や昆虫など自然界に存在する生態や機能などを技術に応用する分野がある。その分野をバイオミミクリーという。


例えば新幹線の形態はカワセミのクチバシを応用した事は有名である。バイオミミクリーの分類とそれらが応用された例を紹介しよう。


自然から応用?バイオミミクリーとは?

バイオミミクリーとは生物を意味する「バイオ」と模倣意味する「ミミック」を合わせた造語である

直訳すると「生物模倣」となる。

生物の特性や自然界の生態などを技術や製品に応用することであり、多くの分野で行われている。

現在大きく4つの分類がされている。

・形態・構造から学ぶ
・動きから学ぶ
・化学プロセスから学ぶ
・生態系に学ぶ
さらに、これらに「師としての自然に学ぶ」
という視点が近年唱えられている。

形態・構造から学ぶ シロアリの巣

自然から学び、応用する。バイオミミクリーとは? 形態・構造から学ぶ シロアリの巣
サバンナに住むシロアリはアリ塚と呼ばれる土でできた巣を作る。

ぽっこっと地上に突き出た土の塊は印象的だ。
地上に見えている部分だけではなく、実際には地下に作れる蟻道と呼ばれる部分があり数十メートルにも及ぶというのだ。

寒暖差の激しい地域にもかかわらず蟻塚の中は常に30度に保たれている。

その理由は煙突効果により地下の冷たい空気と外部の空気に循環を引き起こし、快適な環境を作っているのである。

白アリの巣の構造を応用した冷房のいらない建築

自然から学び、応用する。バイオミミクリーとは? 形態・構造から学ぶ シロアリの巣
ジンバブエの首都ハラレに建つ9階建ての複合商業ビル、イーストゲートセンターである。

人工的な設備に頼らずに、快適な換気と冷房を実現している。
この地域は熱い時期には外気温が40℃にもなる地域だ。


シロアリの巣の構造を応用し、建築物下部から高密度の冷たい(重い)空気を取り込み、上部へは煙突のように低密度の(軽い)空気を排出し、自然換気を起こしている。

「パッシブクリーン」と呼ばれる方法だ。これにより空調に架かるエネルギーを90%抑える事に成功したという。

動きから学ぶ 粘菌の動き

粘菌は脳も神経も無い生物だが餌を求めて広がって行く。脳がないにも関わらず粘菌は最短距離を見つけるのだ。

一度見つけると最短ルートだけ残し衰退させる。

自然から学び、応用する。バイオミミクリーとは? 動きから学ぶ 粘菌の動き

その動きを分析して交通網や水・電気・水道・交通などインフラの整備など効率のよいネットワークができるのではないかと研究がされている。

化学プロセスから学ぶ クモの糸

自然から学び、応用する。バイオミミクリーとは? クモの糸を真似た人工繊維
クモの糸の強度は自然界で最強の強度を誇る。また柔軟性や耐熱性も持つことで知られている。

人間の髪の毛の10分の1の太さであるにも関わらず、同じ太さで鋼鉄の5倍の強度をもち、伸縮率はナイロンの2倍である、400度の熱にも耐えられるほどだ。

理論上、鉛筆の太さのクモの糸を作れば、
飛行機を捕まえることができる。

クモの糸を真似た人工繊維

自然から学び、応用する。バイオミミクリーとは? クモの糸を真似た人工繊維
そしてそのクモの糸を人工的に生産しようとする試みがされている。

クモの糸はタンパク質から作られる。
そのタンパク質を人工的に合成するのである。化学繊維のように石油ではない点が環境にいもいいのだ。

現在はそのタンパク質の組み合わせや、生産効率などが現在の課題である。


山形県鶴岡市のベンチャー企業「Spiber」は人工合成のクモの糸の素材を研究してる。2016年には山岳ウェアで有名なTHE NORTH FACEと共同開発したアウトドアジャケットを販売する予定である。


生態系から学ぶセイタカアダチソウ

自然から学び、応用する。バイオミミクリーとは? 生態系から学ぶ 自然由来の除草剤 
北アメリカ原産の植物。
日本では帰化植物と知られ、ススキなどの日本の植物と競合し本の風景を壊す悪役とされてきた。

その強い繁殖力の理由には、地下茎から出される化学物質で他の植物の生育・発芽を抑制していることが判明した。

そうして日本のススキの風景を一変させたセイタカアワダチソウだが、自分自身もその化学物質の影響を受け、枯れることがわかったのだ。

今では徐々にススキが回復していると言われている。

自然由来の除草剤

自然から学び、応用する。バイオミミクリーとは? 自然由来の除草剤
その化学物質はフィトンチッドという物質であることが知られている。この物質を利用し環境によい除草剤の開発が進めている。

しかし天然由来の(セイタカアダチソウから抽出)ものだけでは除草剤としては効果が弱い事が現在の課題である。


終わりに、師としての自然

自然から学び、応用する。バイオミミクリーとは? 終わりに、師としての自然
http://istardil.exblog.jp/21033029/
これまでバイオミミクリーは新しいが考えのように言ってきたが、本当に新しい考えなのであろうか?


私達は常に自然から学んできたのではないだろうか?

人間は自然から生まれた。原始の宗教のほとんどはアニミズムであった。特に日本にはアニミズムを源流にもつ神社が今も多く残る場所だ。

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自然を畏れ、その中で人間の振る舞いや生き方、命のあり方など学んできたのではないだろうか?
そして今はまた立ち返る時代にある。人類が忘れた最も大事な事をまた自然が教えてくれるのである。
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